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No.10 マルク・グローウェルス氏インタビュー (前編)

私がベルギーに留学して来たのは2001年。2000年という言葉が、新しい響きに感じられる、そんな頃でした。そして年月は経ちあっという間に2013年。早いです。

私のベルギー渡航へのきっかけとなったのが、マルク・グローウェルス氏。 当時、”ピアソラ”というアルゼンチンのバンドネオン奏者兼作曲家の音楽が流行していて、私も彼の音楽に夢中になっていました。バンドネオンの何とも言えない音色、アルゼンチンタンゴの哀愁と情熱。音楽に燃えていた当時、この哀愁と情熱の合い混ざった音をどう出すのだと、学生仲間同士何時間も語ったりしていました。そんなピアソラが、マルク・グローウェルス氏に捧げた曲というのが、”タンゴの歴史”でした。 フルート吹きの間では現代の名曲です。

当時海外留学をしたくて、先生を探していた私。先生の数はそれでも数知れず。一体どこに、誰につけば良いのか・・・と迷っていました。そんな時、その”タンゴの歴史”を捧げられた人と聞き、”ピアソラが彼を好きなら私も好き!”と勝手に決め込んで、留学して来たのが私のベルギー生活の始まり。

一年目のフランス語も出来なくて勉強にも付いて行かれず、何故か私の周囲には日本人が一人もおらず日本語を使う機会もなく中々思うように話す事が出来ず、日常生活でも、勉強でもカルチャーショックも大きく。そんな一年目、押したら倒れそうな程に弱々しかった私(実際見た目も細かったのです)を、元気づけて支えてくれたのが、マルク先生でした。本当に感謝の気持ちで一杯です。

そんな世界的に活躍するフルーティスト、マルク・グローウェルス先生のインタビュー前編です。

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ベルギー王立モンス音楽院の教授であるマルク・グローウェルス氏。
ベルギー人だけではなく、世界中から異なる国籍の生徒達がやってきます。

「戦前のような違いはないけれど、国籍によってやはり今でも色々違いがある。」

戦前は国ごとに流派があり、ドイツのフルートできっちり吹くドイツ式メソード、アメリカ式メソード、エコール・フランセーズ、イギリス式メソードなど昔はそういう違いがすごくあったようです。ロシア、イタリアも、ベルギーも・・・ベルギー式メソードだってあったというから驚きです。

「今はネットもあるし、CDも簡単に聴く事が出来るので、全てがスタンダードになってしまっている。食べ物と同じ。マクドナルドみたいに世界中で見つけられる(笑)何でも世界的規模になってる。こういうのは悲しいですね。でもやっぱり細かい所が違う。私の生徒に沢山スペイン人がいて、大体の人がとっても大きい音ですね。彼らは真っ直ぐな性格なので、音楽にもそれが出ますね。性格が真面目で、とてもプライドが高い人が多い。だから僕はね、彼らによく”なんだなんだ、全然ツマラナイ演奏だな”とか、わざと言うんです(笑)そうすると顔を真っ赤にして怒って、スゴく良い演奏をするんですよ(笑)」

と楽しそうに話すマルク氏。私も、そんな風に言われた記憶があります。それが手段だと分かっていても、彼は上手に生徒を怒らせて本領を発揮させてしまうのです。

「ドイツ人のタンギングはちょっと重い感じです。言葉と同じね。音楽もすごく構築が良く出来てる感じ。オランダ人もそうです。すごく勉強するし、すごくテクニックが良い事が多いですが、イマジネーションに欠けている事も多い。ラテン系の方が思い切った事をする。 どんなに世界がスタンダード化されているといってもやはり色々違いはあります。ヨーロッパでは100kmで建物も人の感じも違う。それが楽しい。100Kmどこかに行けば、全く違う人と世界がある。ベルギーはワロンとフラマンですでに違いますからね。」

確かにそうです。夫も学生時代アメリカに留学していたのですが、やはり2時間移動したら全く違う世界があるというヨーロッパに惹かれて帰って来たと言っています。 よくアジアはひとくくりにされてしまうのですが、両国に演奏旅行に行くマルク氏には全く違って映るようです。

「韓国の子達は唇が厚い子が多いから(実はフルートは唇の形なども影響するのです)、それも苦労の一つなようです。でもレベルはスゴく高い。韓国は日本と同じで教育熱心。今は日本よりも韓国の方が教育熱心な位でしょう。日本の20年前のようです。」

コンクールも今は日本人の名より、中国人・韓国人の名が連なり始めています。アジアの教育熱心は変わらないのかもしれませんが。そして日本人と言えば、”真面目””先生に言われた通りに演奏する”の代名詞な所があるのですが、意外やマルク氏はそのように見ていないようです。

「日本ではマスタークラスを何回かしましたが、熱くてちょっとラテンみたいな子達がいて、吃驚しましたよ(笑)情熱的に演奏していて、色んなフルーティストがいるなって思いました。」


とはいえ、日本人のヴァカンスの日数の少なさには

「本当に大変そうだなぁって思います。」


とのことでした(笑)。

後編をお楽しみに!

マルク・グローウェルス

1954年、ベルギーのオーステンデに生まれる。フランダース・オペラ管弦楽団でフルーティストとしてデビューし、1976年、ベルギー国立歌劇場管弦楽団首席ピッコロ奏者となる。1978年よりベルギー放送交響楽団首席フルート奏者を務めた後、ソリストに。1986年にCarlo-Maria Giulini 率いる有名な「World Orchestra」でも首席奏者を務めた。

世界各国で年間100回以上のコンサートに出演し、同時にマスタークラス等の指導も行っている。かつてベルギー王立音楽院で教鞭をとり、現在はMonsの王立音楽院の名誉教授に就任している。

演奏はA.ピアソラに捧げられた「タンゴの歴史」をはじめクラシック、ジャズ、タンゴなど幅広い音楽に挑戦し、常に新しい可能性を追求し続けている。
Naxos社から「The Flute Collection」という題名のCDを多数出す予定で、既に発売されているF.メンデルスゾーンに捧げるCDは商業的にも大成功を収めている。

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神田望美 (かんだ のぞみ):ベルギーを中心に演奏活動を繰り広げているフルーティスト。 日本、西欧諸国、ノルウェー、チュニジアの音楽祭、コンサートにも出演し、各国の新聞にて好評を得る。 Estampes(フルート・ヴィオラ・ハープ)、東京ブリュッセルトリオ、フルートアンサンブル4tempiのメンバーとして活躍し、室内楽を主に多くの音楽家と活動する。故西沢幸彦氏の影響を強く受け、新境地の開拓を目指し、邦楽器、語り、日本の音楽をプログラムに取り入れるなどの試みをしている。ブリュッセル王立音楽院フルート科教職課程を修了し、ベルギー公立のアカデミーの代理講師、Dinant International summer academieにて指導。Atelier de Fluteを立ち上げ指導を行う。日本でもセミナーや吹奏楽部指導などを定期的に行っている。これまでに高橋あかね、植村泰一、西沢幸彦、マルク・グローウェルス氏に師事、ヴァンサン・リュカ、ヴァンサン・コルトブリントらのセミナーに参加。 フェリス女学院大学音楽学部、王立モンス音楽院卒。公式HPブログも絶賛更新中!


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