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連載:人ありき
作り手から“美味しさ”の秘密お届けします。                       【2012-3-26】
No.3 レストランの醍醐味 ②
取材2日目。この日は、月曜日と言う事もありお昼の営業がないので、朝11時にお店にお伺いする約束をしてありました。レストランに入るともうクリストフさん誰かと打ち合わせをしています。

二人の打ち合わせは、まだ終っていない様子。傍で私はクリストフさんが淹れてくださった紅茶を飲みながらお二人の打ち合わせを拝見させて頂く事になりました。

レストラン内はまだ、仕込みも始まっておらず、営業中と打って変わって静かです。クロスも掛けられていないむき出しのテーブル達、綺麗に後片付けされている厨房は、お客様が入られる間の一時の休息をしているかの様に佇んでいます。

クリストフさんと打ち合わせしているスタッフの方は、スー・シェフのFrançois 〈フランソワ〉さん。彼はフランス人でクリストフさんの元で働いて2年になるそうです。21歳の若さですが、料理の道に入られて7年目。そして、ボンボンではシェフの直ぐ下で働くスー・シェフというポジションにいます。

今日この彼とクリストフさんは、お料理の値段設定について話していたところでした。取引している業者さんは、40件程有るそうです。常に業者さんから届く食材には目を見張り、決しておざなりになる事なく厳しいチエックを入れているそうで、それでもこの10年の間に1件の業者さんとの取引を無くしたのみだそうです。こうしてクリストフさんの様に業者さんとの関係を築いていっている職人さんはベルギーでは少ない中、私にはとても嬉しい知らせでした。

以前ベルギーのコーヒーの老舗店のご主人さんとお話した際に、「美味しいコーヒーをお客様に提供する際に何が一番難しい事ですか?焙煎ですか?」の質問に対し御主人さん、「仕入れです」と答えられたことを思い出しました。

この40件有る業者さんからどのような食材をどのように仕入れるかでコストに大きな違いが出き、それがお客様に出されるお料理の値段に反映します。メニュー作りをするに辺り、高級食材のみを使用するのではなく、鯖、卵などの素材も取り入れながら、尚且つお客様に喜んで頂ける様な料理作りをしているそうです。それは要するに、新しい料理テクニックを使い、今までとは違う食感を作り出し変化を付けて、普段着素材のお料理に驚きを与えるという事です。

この様に料理指導のみならず、営業面での指導もしていらっしゃるクリストフさんですが、ご自分のことを、理想主義者だとおっしゃいます。そんな彼にとってコスト計算をして、経営の方も考えないといけない事は、「自分にとって、とても難しい事で有る、その為に日々勉強しています。」と話されました。

クリストフさん、スー・シェフのフランソワさんのことを、「彼はまだまだ僕からしたらbébé(赤ちゃん)だけど、彼は“génial”素晴らしい料理人で、素晴らしい舌を持っている。ここであと1~2年仕事をしたら海外に行かせたい」と、彼の将来を既に考えておられます。

クリストフさんから、“importance évoluer”進化することが重要で有る。日々の仕事を常にクリエイティブなものに高めて行く事、そして、“développement personnelle”個人の発展も必要不可欠だと話してくださいました。この言葉通り、クリストフさんのスタッフの方達との接し方が物語っています。全体的に前に進んで行くことが必要なのだと彼は繰り返しました。

ふと客席の方を見ると、そこで一生懸命に椅子を磨いているお掃除担当の方の姿がありました。

この様な風景や、裏方の方達は決して表舞台には出ることなくお客様の目にも触れませんが、こういう方達に支えられ、レストランは成り立っていると思います。


キッチン横の洗い場で働くUrbain〈ユールバン〉さんは、ボンボンで働いてもう10年だそうです。10年という事は、オープンからという事になりますね。 仕込み最中の洗い物のでない時間帯、彼は手際よく帆立を貝から外していました。早~い!私が傍に行くと、「こうやってね、貝から外すんだよ。」と教えて下さいました。 (写真左)


しばらく仕込みを見学した後キッチンに戻ると、パティシエのNicola〈ニコラ〉さんが、次回のデザートの試作をされていました。(写真右)

次回のデザートは、パイナップルとココナッツだそうです。これからベルギーで出回るパイナップルは旬の為(取材時11月下旬)美味しい時期に入ります!

岩塩にのせられて丸のままで焼かれた玉ねぎが、美味しそうに焼けています。これはジビエの付け合わせだそうです。



日本からお越しの金田 理一郎さんは、アントルメティエと言う野菜料理を準備するセクションを担当されていて、ここボンボンではお肉のつけ合わせ用の温製の方を作っておられます。金田さん、頑張って下さい。

レストラン“ボン・ボン”なかなか予約の取れない程の人気店で、お昼・夜の営業と長い一日を日々皆さん送られています。パティシエもそうですが気力、体力勝負の仕事です。毎日の仕事をこなしながら、新メニューを考え創作し、コンスタントに作り上げて行かなくてはなりません。精神的にも実に厳しいものが有ります。

そんな料理人のクリストフさん、日々どのように健康管理を行い、集中力を保っておられるのか、訪ねてみました。

「休みの日には、天気の良い日、雨の日、雪の日にも出来るだけ外へ出かけ、
 森などを歩き心をリフレッシュし、エネルギーを補充しています。

 そしてお料理のインスピレーションを広げる為に旅行をして、現地の素材に触れたりしながら、
 日常では時間が有れば料理本を眺めるという日々の繰り返しです。」


こう話される彼は実に行動的な方です。傍にいるとクリストフさんからエネルギーが出ているのがとても感じます。彼はパワーに満ち溢れています。

今日も冷蔵庫からあるものを取り出し見せて下さいました。クリストフさんが手にしているのは、昨日森に出かけ自分達で摘んできたハーブ“野草のオプレソン、ブソワン、リベルテ”などです。食べた~い!山菜が大好きな私の心をくすぐります。これを食べたら元気になりそうですね。

今後は、レストランの内装がまだ全て終っていない為、これから序々に仕上げて完成させて行きたいとの事です。そして、夏にはお庭を利用してガストロミックなバーベキューを企画したいと語ってくれました。クリストフさんアイデアが溢れ出て来て仕方がないという感じです。

取材中、私が解らない素振りを見せると私が解るまで、とことん説明して下さり、常時笑顔を絶やさず話してくださった彼の目は、とても誠実で少年の様でも有りました。皆さん、是非レストランを訪れ、お料理と共に“テアトル”を楽しんでみて下さい。


次回は、フレンヌリー・グルモンデュです!

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小野島ゆかり 【著者: 小野島 ゆかり、パティシエール】
日本の菓子屋で修行をし、ホテルのパティスリー立ち上げからシェフを経験後、1997年に渡白。ブルッセル市内の菓子屋に従事。その後、結婚・出産を経て2002年よりフレンチレストランでパティシエールとして活躍。2009年末、新たなステージを目指してレストランを退職。現在はお菓子教室を開催しながら次のステップの為の充電中。得意なお菓子は、季節の果物を使ったデザート風アントルメ。愛知県名古屋市内の「”Le chapon fin” Les entremets Français」の野畑氏を師匠に持つ。

(ベル通インタビュー記事はこちらです。)

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